素人登山者の山行クロニクルズ

アウトドアとは無縁な生活を送っていた引きこもり系会社員が、何を血迷ったか、登山にハマってしまいました。
主に素人登山者の行く、素晴らしき登山(珍道中)の記録です。

☆富士山☆~日本人の心に聳える 頂点の山へ(後編)~


 皆さんこんにちは。いよいよ富士登山編、試練の2日目スタートです!



 9/9~9/10にかけて、山開き最終日に日本の象徴、富士山の登頂を目指す僕とHRS君。既にHRS君は高山病にかかっており、僕らの行く手に暗雲がたちこめます。



雨の日の出発



 中世の奴隷船みたいに登山者が枕を並べる満員の山小屋で、何とか数時間の睡眠を取ることができた僕は、友人のHRS君の声に目を覚ました。
 高山病なのに眠ってしまった彼は、横になっているのも苦痛なほどの頭痛に目を覚まし、もう寝付くことができなかった。山小屋の従業員の助言に従い、HRS君は仕方なく、既に消灯している山小屋の休憩所で水を飲み、深呼吸しながら休んでいたのだ。


 「下でやすんでたら、だいぶ良くなった」


 HRS君の言葉に胸を撫で下ろしつつ、僕は既に周囲の登山者が出発の準備をし始めているに気が付いた。
 深夜1:15となり、寝室の電気が点けられと、山小屋の従業員がご来光目当ての登山者へ大きな声で呼びかける。


 「山頂でご来光を見たい方は、1:45には出発して下さい!」


 起きて、いよいよ山頂を目指そうと出発の準備に取り掛かる僕のはす向かいで、今起きたばかりの年配の白人男性登山者へ、別の外国人登山者が困った様子で声を掛けた。


 「イッツ・レイニー」


 それを聞いた年配の白人登山者は、驚いた様子で振返り、いぶかし気に答えた。


 「レイニー!?」


 僕はこの瞬間、自分の拙い英語力では、彼らの会話をきっと聞き取れていないのだと思いたかった。しかし、中学生でも理解できそうなその外人同士のやりとりは、僕らに悲しい現実を突きつけるのであった・・・。



 回りくどい小説風な前置きをしてしまいましたが、僕が何を言いたかったのかというと・・・。




 雨です!!



 山の天気は変わりやすいとは、よく言ったものですが、今回雨に降られるとは、正直予想していませんでした。
 皆上下レインウェアを着ているのは、最初防寒の為だと思いましたが、外に出ると結構な勢いで降ってました。


 とりあえず、僕とHRS君も上下に雨具を着て、昨晩支給された弁当(おいなりさん)を食して、他の登山者同様、ご来光を見に出発です。


 2:00 いよいよ出発します。幸い、雨もだいぶ小降りになってきました。





 雨の中の行軍スタート。ご来光目当てに皆が一斉に出発する為、深夜にも関わらず、登山道は大渋滞です。



 道を埋め尽くすヘッドライトをつけた登山者が、幻想的な光の列となって山頂へと伸びていきます。



 雨の中進むこと、約3時間・・・



日本の頂へ

 
 4:53 何とか夜明け前に山頂へ到着。なんだかHRS君の表情が芳しくありませんが・・・。



 人のひしめく山頂でお互い記念撮影。



 山頂は沢山のご来光待ちで、ひしめき合ってます。


 さあ・・・いよいよご来光の時間です!




 ・・・



 ・・・



 ・・・ん?


 





 ・・・あれ?





 日の出・・は・・・?





 見え・・ない?



 





 そりゃ、雨が降ってたくらいですので、晴れているわけがありません。
 かろうじて、薄っすらと山の下の灯かりが見えるくらいです。



 そして朝の山頂の冷え込みが、容赦なく僕らの体温を奪っていきます。
 フリースを着て、上下雨具、グローブを付けていても手がかじかんできます。


 ここで、富士山における第4の注意点、“寒さ”です!


 早朝の富士山頂とか、夏なのに最早冬山です!
 ※雨が降ってなければ、軽量のダウンを持っていきましょう。




 こんな天気では仕方がありません。さっさと、最高峰の剣ヶ峰に行って、お鉢巡りでもして下山することにしましょう。



 そう言って、僕がHRS君に声を掛けたその時でした。




 彼の様子が明らかに変です。







 そうです・・・。
 疲れと寒さで、もうよくわかりませんでしたが、彼の高山病はとっくに再発していました。




 HRS君・・・ここで無念のギブアップです。




 結局、お鉢巡りとHRS君を天秤にかけた結果、僅差で下山することにしました。



下山と無限ループ地獄



 5:36 名残惜しいですが、下山開始です。
 下山はジグザグしたブルトーザー道とかいう広めの道を使いました。
 寒さの為、氷柱ができてました。HRS君に教えてあげます。



 「見て見て! 氷柱ができてる!」




 仕方がないので、先を進みます。



 あれあれ、少し進むと景色が開けてきました!
 皆足を止めて、景色を眺めています。そして僕らも・・・。





 「晴れてきたみたいだから、少し見ていこうよ!」





 彼も大変そうだし、足を止めて、しばし景色でも楽しみましょう。



 今まさに登ったばかりの日の光が、雲海の向こうの空を幻想的に照らし出していました。
 ちゃんとしたご来光は見られませんでしたが、これはこれで絶景でした。



 高山病バリバリのHRSさんも、ご満悦!



 高山病で虫の息であった、HRS君の体に鞭打って、写真を撮って貰いました。
 みんな逆光です。


 景色は良くなってきましたが、このジグザグの下山道は単調過ぎて、地獄の無限ループです。



 HRS君も少し元気になってきたかな・・・?



 疲れと高山病で、HRS君の体力はつきかけていました。
 彼のペースに合わせて、休み休み進みます。



 ここまで悠々と進んで来た僕でしたが、僕の体にもある異変が・・・。


 い、いかん・・・これは一番まずいやつだ!


 ・・・トイレに行きたい!


 そういえば、山小屋を出てから、トイレに行ってません。高山病対策で、水分を多めにとっていたことが裏目に出てしまいました。
 HRS君も実は我慢している様子・・・。


 しかし、地図を見て見ると、7合目の公衆トイレまでトイレはありません。


 こ、これは・・・いや、





 登りに比べ、圧倒的にトイレの少ない富士山の下山道。
 携帯トイレも持ってましたが、物影の全くない富士山の下山道で使うことは不可能です。



 徐々に高まっていく尿意を堪えながら、無限に続くかと思われる地獄のジグザグループをひたすら進みました。



 緊急避難小屋へ到着。いっそうのこと、この中で携帯トイレでも使おうかと思いましたが、我慢。


 しかし、僕らの膀胱は破裂寸前です。




 もうダメかも・・・。






 そして・・・。






 8:13 ようやく、7合目公衆トイレに到着です。ただのトイレなのに、もはやオアシスです。
 ここでしばしの休憩。山頂からそのままの格好で下山してきたので、結構汗をかいていました。雨具を脱いで、行動食を取ります。
 さすがに、ここまでくれば、HRS君の高山病も一段落・・・。




 後は、ひたすら5合目を目指して進みます。
 ここで、今晩何を晩餐にするかで、僕らは話し合っていました。


 「とりあえず肉だろ」
 「そうだね肉だね」
 「肉っていったら、何があるかね。焼肉? ステーキ?」
 「焼き鳥ってのもあるけど」
 「いやいや、普通肉を食べようって言って、焼き鳥はないでしょ?」
 「それはおかしい! 焼き鳥だって肉料理じゃないか!」
 「それはあれだよ、焼き鳥はどちらかというと酒の肴的な感じだからじゃないかな?」
 「そ、そうか!? 焼肉やステーキはそれ自体でメインになり、それを目的に食べに行くことが多いが、得てして焼き鳥は、飲み屋に行く際の選択肢として考えられることが多い! そういうことだったのか!」


 ・・・二人とも納得。


 毒にも薬にもならない与太話をしている間に、ゴールへ近づいていきます。



 「ところで、ハンバーグは肉を食べたい時の選択肢になるのかな?」
 「それは違うよ。魚を食べようって言って、おでんを食べるようなものさ」
 「なるほど、加工品繋がりってわけか!」


 どうしようもない、未婚30代男子の拙い会話でした。
 僕らが結婚できない理由を何となくご理解頂けたかと思います。



 9:23 そんな馬鹿話をしている間に、5合目に到着しました。
 僕らの前に馬車が走っていますが、5合目の少し手前から乗ることができます。


 だけど料金は2000円です。


 HRS君「乗りません!」※即決





 お土産を買って、いらない荷物と一緒に郵便局からゆうパックで送りました。
 身軽になったところで、お昼ごはん!


 富士山名物 富士山噴火カレー です。


 本当に富士山が噴火して、死者でも出ようものなら、こんなメニュー出せなくなるんだろうな・・・。


 ずっとぶら下げていたのに、存在を忘れていたチーバ君を申し訳程度に撮っておきます。


 11:30 バスに乗って、富士山に別れを告げました。




長い長い帰り道



 12:24 懐かしの河口湖駅に到着。



 去年、三つ峠山に登った帰りに寄った、ほうとう不動。こんなに混むんですね。
 そういえば、あの時もHRS君と一緒でした。




 ちょっとバスに乗って、河口湖の辺にある日帰り温泉へ。
 ここにも去年来たし。





 二日分の汗を流し、バスに乗って再び河口湖駅へ戻ります。



 とりあえず、東京まで帰ってから晩餐にすることに。
 電車かバスのどちらで帰ろうか迷いましたが、乗換のいらない楽さと、値段の安さで、今回もバスでかえることに・・・。


 


 16:30 東京駅行きのバスに乗りました。



 バスの窓からは、登ってきた富士山が見えます。

 「なんだかんだで、いい登山だったね」
 「うん」


 しかし、楽しいのはここまででした。
 皆さん、何か大事なことを忘れてないでしょうか?
 そうです、富士登山での5つの注意点です。
 もう、とっくに下山してますが、家に帰るまでが登山なのです。


 富士山における第5の注意点、それは“中央道の渋滞”です。


 帰りのバスへ乗った僕らを待ち受けていたのは、中央道名物、小仏トンネルを先頭とする、圧倒的渋滞です。
 僕らの残念無双は、まだまだ終わっていませんでした。


 日曜日✖夕方✖中央道

 それは、悪魔の方程式でした。
 当初2時間で東京駅へ着く予定が、2時間遅れ、トータル4時間ものロングクルーズとなりました。


 20:45 東京駅へ到着。せっかく早く帰れたのに、アドバンテージを全て無駄にしてしまいました。



 そして、僕らの前には、明日は仕事だという現実・・・。
 もうヤケクソの焼肉です! ヤケクソだけど焼肉です!


 
 こうして、僕らの長い長い富士登山は終わりを迎えました。
 結局、剣ヶ峰に行ったり、お鉢巡りをすることはできなかったので、できれば来年あたりまた登ってみたいです。次回は富士宮ルートとかからでもいいかもしれません。

 今回、高山病がトラウマとなって、HRS君はしばらく登山をお休みするそうです。
 でもきっと大丈夫! また来月あたり普通に登山をしていることでしょう。


 それでは皆さん、お読み頂き、ありがとうございました。










☆富士山☆~日本人の心に聳える 頂点の山へ(前編)~

 
 2017年9月9日~10日
にかけて、静岡県と山梨県に跨る、富士山に登ってきました!
 標高は3776m言わずと知れた日本の最高峰にして日本一有名な山ではないでしょうか。言わずもがな、日本百名山です。



 今回もいつもお馴染み、HRS君と山小屋泊にて、日本最高峰の登頂を目指します。
 実はHRS君にとって、富士山は最も登りたかった山で、最近はあまり登山に付き合ってくれない彼も、二つ返事で誘いに乗ってくれました。


 そんな彼の身に、まさかあんな事態が待ち受けていようとは・・・。




富士スバルライン5合目へ



 9/9 朝6:38 千葉駅発の特急あずさで、まずは山梨県の大月を目指します。
いつもの日帰り登山より、若干遅めの出発です。



 確か去年、山梨県の大菩薩嶺に行ったときに利用しましたが、千葉から山梨まで一本で行ける大変便利な特急です。
 



 大月までは約2時間。その頃には、車内は大変込み合い、通路にも人が立ち乗りしている状況です。大月で下車するのに一苦労でした。


 大月駅から、富士急行に乗り換えて、富士山駅を目指します。富士急行なのにJRの線路から出てたりするので、混乱しないよう注意が必要です。



9:26 富士山駅に到着。ここからバスで富士スバルライン五合目に向かいます。



 ここで我らがプリティーボーイ、HRS君と合流となります。
 さあ、役者は揃いました。二人だけど。



11:15 バスで約1時間、富士スバルライン五合目に到着しました。
 9/10 で富士山の山開きは最終日、それにも関わらず大変な賑わいです。高尾山の頂上みたいに人がいっぱい。





 既にこの時点で標高は約2300m! 

 この高度になれる為、昼ごはんも兼ねて、1時間ほど休憩していきます。



 神社に参拝して、道中の安全を祈願。
 しかし、もう既にこの時、HRS君にある異変の兆候が・・・



 天気は晴れなのに、雲は多め、山頂は見えたり隠れたり。



 記念撮影。ストックを持ってきましたが、結局コインロッカーに預けていきました。
今回に関わらず、心配性な自分は、ついつい色々なものを持って行き、ザックの重量を増やしています。



 馬がいました。時間があれば乗っていきたかったかな。



山小屋 元祖室まで



 12:33 いよいよ出発です。登山口に富士山協力金受付所があります。任意ではありますが、とても素通りできる雰囲気ではありません。
 もちろん払っていきましたよ(汗)。



 今回のコースは、数ある富士山の登山口の中でも、最もポピュラーで、混雑するという富士吉田ルートを歩きます。
 下山道は別になるので、ピストンにはなりません。



 最初は平坦な道が続きます。六合目までは、標高はほとんど変わりません。登山ということを忘れてしまいそうです。



 この時点で既にかなりの高度感! そりゃ、もう2300mですから。



 まだまだHRS君も元気いっぱいでした・・・。



 石畳みたいな道に。やはりかなり整備されています。



 まだ登山道には、背の高い木が並んでいます。緯度的にはかなり南にある富士山の森林限界は、大体2500~2600mあたりでしょうか?



 僕が登山用語で最も好きな言葉は、「森林限界」です。
 この言葉を巡って、HRS君は木に対してもの申したかったようで、「自分の限界を勝手に決めるな!」とか、普段は淡白な彼が、松岡修造みたいなことを言ってました。



 木「お前に言われたくねーよ・・」


 因みに、登山用語で最も嫌いな言葉は、満場一致で「登り返し」となりました。



 13:08 特に苦労することもなく、6合目に着きました。
 上を見ると沢山の人が登ってました。嫌な予感・・・。



 人は多いですが、まだ流れてはいました。ここはまだ道が広いので、止まることはありません。それにしても、だいぶガスってきたな。




 あと4.7kmか・・・。しかし、山でいう1kmは、体感5kmくらいに相当します。



 ガスがかかったり、晴れたりを繰り返します。



 14:15 7合目に着きました。
 予想していたのより混んでいなかったので、コースタイムを巻いてこれました。
 なんだ、混む混むといっても、こんなもんか~。



 とか思っていると、急に道が詰まります。ま、まさか・・・



 はい! 大渋滞です。
 道が狭くなると、この有様です。
 特に山小屋が並ぶ付近は、道が狭くなるので、混みます。



 突然ですが、今回初の富士登山をしてみて、注意しなければならないことが、5つほどありました。 
 まず第一の注意点、“混雑”です。これによって、コースタイムが読めなくなりますので、注意が必要となります。



 あいかわらず、山での食事はいい値段してます。ビールを飲みたくなりますが、高山でのビールは、色々なリスクをはらみます。



 休憩しなくても、進むのがゆっくりなので、あまり疲れません。渋滞の中を進みます。



 日も段々かげってきました。山頂の向こうに日が沈んでいきます。



 16:03 8合目に到着! 今日はもうちょっとでゴールです。



 さすがに3000mを過ぎ、寒くなってきたので、HRS君はフリースを着こみます。
 自分もウインドブレーカーを羽織りました。



 白雲荘に到着。本日宿泊する元祖室は、この上にあります。



 既にこの時、HRS君の体にある異変が起きていようとは・・。



 17:00 山小屋元祖室に到着です。約4時間半かかりましたが、予想より早く着くことができました。



 せっかくなので、HRS君に写真を撮ってもらいました。
 HRS君いわく「モデルが悪い」とのこと。



 そんなHRS君は、既に富士登山における第2の注意点によって蝕まれていたのです。
それはつまり、“高山病”です!
 今回は何とか登頂できましたが、彼はこの後下山するまで、高山病と戦うはめになりました。



 ここが元祖室です。僕にとって初の山小屋泊になります。
 因みに、本日9/9の予約は満室でした。その意味をまだ僕らは完全に理解できていませんでした。





山小屋泊


 17:30 に夕食であるカレーライスを食べて、しばし標高3200mの山小屋を満喫。
外はかなり冷え込んできています。


 HRS君は、高山病の症状が酷く、先に床につきましたが、これがある意味自殺行為。
寝ると呼吸が浅くなる為、症状が悪化するそうです。
 結局、夜遅くに眠れないほどの頭痛に耐えかねて起きた彼は、休憩所で深呼吸しながら休んでいました。



 高山病になってしまった場合、上に行けば行くほど、症状が悪化していくので、水を多めに飲み、深い呼吸をしながら休んでいると、1時間くらいで改善するみたいです。
 それでも治らなければ、大人しく下山するしかないです。
 ※前日から水分を多めにとったり、登っている間も深呼吸をしたりと、色々と対策をしておきましょう。



 ここで、富士山における第3の注意点、“山小屋での睡眠”です。 ピーク時の富士山の山小屋における、一人当たりの睡眠スペースは寝袋ひとつほどもありません。貴重な体験ではありましたが、またしたいとは・・・。



 寝返りもうてない寝苦しさと戦いながら、HRS君は高山病とも戦いながら、富士山の夜は更けていくのでした・・・。




 波乱続きの二日目へ。
 後編へ続きます。




☆仙丈ケ岳☆~骨折完治記念 南アルプスデビュー(後編)~


 さてさて、いよいよ波乱(?)の後半戦の始まりです!




 2017年8月14日、南アルプスにある仙丈ケ岳へ行ってきました。
 美しい三つのカールを持ち、その壮麗な姿から、“南アルプスの女王”と呼ばれています。


 初めてのアルプス、初めての3000m峰、そして・・・


アルプスの朝は早し


 4:23 甲府駅前のバス停には、既に沢山の登山者たちが集まり始めています。
 いつもの登山なら、ようやく起きるくらいの時間です。バスが出る時間としては、気違い染みています。
 甲府駅周辺に前泊が前提のようですね。


 4:35 バスに乗り込むと、乗務員がチケット代を集めて回ります。運賃は、北沢峠行に乗換をする広河原までで、2,050円
 隣の人が一万円を出したら、「最初にそんな大きいのを出されても困る」と、乗務員が嫌な顔をし、僕は5千円札を出しましたが、やはり同じことを言われ、後回しにされました。
 気持ちは分りますが、あんなに露骨に態度に出さなくても・・・


 


 6:35 約二時間の快適(?)なバスでのクルージングを経て、広河原へ到着です。
 日本第二位の高峰、北岳へはこちらが便利となっております。



 ここから約25分かけて、仙丈ケ岳の登山口のある、北沢峠へ向かいます。



 7:10 北沢峠に到着です。バスの隣に座っていた大阪から来たお父さんは、隣の甲斐駒ケ岳を登ると言っていました。
 本当はここらの山小屋に一泊して、仙丈ケ岳甲斐駒ケ岳の双方に登ってみたいですが、時間も体力もおぼつきませんので、きっとまたいつかどこかで・・・



 標高2000mからのスタート

 


 これが今日のルートです。小仙丈ケ岳から、馬ノ背ヒュッテを周回します。



 7:30 満を持して、骨折明けの登山開始です。
 登山口の時点で、既に標高は約2000m! いつもの山であれば、既に山頂くらいの勢いです。


 しばらくは、樹林帯の中を進みます。同じ樹林帯でも、この標高の樹林帯というのは、いつも見ているものと、何だか違い、神秘的で厳かでさえあります。



 7:44 一合目に到着しました。
 


 7:58 二合目に到着。



 8:20 三合目です。森林限界はまだ先のようです。
 久しぶりの登山で、樹林帯にすら、感動を覚えていた僕ですが、この時点でそろそろ飽きてきます。もっと見晴らしのいい場所を歩きたい!
 “ノーモア・樹林帯!” です。



 8:33 四合目 



 8:49 ここが五合目だったかな?



 9:10 六合目。そろそろ僕が登山をやっている中で、最も好きな言葉の一つ。“森林限界”です。さらば樹林帯!


 樹林帯を悪く言い過ぎました。少し反省です。皆さん、山や森を大事にしましょう!
 “ノー樹林帯・ノーライフ”です


 
 といいつつ、今日の天気は曇りでガスってます。ここ数日の天気を考えれば、雨が降らないだけ、マシなのかもしれませんが。



 と、ここで、何やら特徴的な山が顔を覘かせます。あれは一体?



小仙丈ケ岳




 9:54 小仙丈ケ岳に到着! この時点で標高は2864m。僕が登山を始めてからの最高峰をあっさりと越えさせてくれました。さすがアルプス!



 日本第二位の高峰なのに、今一知名度の薄い北岳です!
 あれに登る時は、上の山小屋に泊まらないとな。



 そしていよいよ、あの白い雲のベールに包まれていた仙丈ケ岳本体が、その美しい山容を露わにします。



 女王陛下に敬礼!



 遂にその眉目秀麗な姿を現した、南アルプスの女王陛下 仙丈ケ岳です!
 山頂へ向かって伸びる穏やかな稜線は、正に自分が想起したアルプスの山の姿でした。


 この曇り空にして、溜息の洩れるようなその美しさ・・・来て良かった。


 GOD SAVE THE QUEEN OF SOUTHERN ALPS!



 
 久しぶりの本格的登山で、既に体力的に残念な状況でしたが、女王陛下の麗しきお姿を見て、俄然やる気が漲ります!



女王の中の女王


 10:58 仙丈ケ岳山頂に到着。
 登山を始めて、1年と4カ月。足の骨折を乗り越え、ついにアルプスと呼ばれる山の頂きに到達しました!



 初の3000m峰でのお昼です。景色は相変わらずで、かろうじて北岳が見えるくらい。しかし、標高3000mにも結構虫っているものなんですね。



 そういえば、高校時代からの友人は、チーバ君の中の人になってたな。



 下山とここでしかない出会い



 11:44 お昼も食べたし、天気もあまりよくないので、下山しましょうか。



 え・・・? こ、これは!?
 


 僕がさっさと下山しようとしたその時、高山に住む美しき守り人はひっそりと現れました。
 
 初めてのアルプス、初めての3000m峰、そして・・・初めての雷鳥。



 彼らが現れると、行き交う登山者は皆足を止め、質素ながら神秘性を帯びたその姿に誰もが見惚れます。
 こと山に限っては、どこぞのアイドルなどよりも、彼らの方がよほど人気があることでしょう。



 山頂のすぐ下には、仙丈小屋があります。とりあえず、ここで登山バッジをGET!


 ここで少し気になるものを見つけました。




 ・・・ごくり。





 わかった、わかった・・・
 しかし、いくら何でも生ビール900円には躊躇させられます。標高2890mの魔力です。



 ビールの誘惑にも負けず、僕は先を急ぎます。



 すると、ここで僕にある異変が起こりました。


 初めてのアルプス、初めての3000m峰、初めての雷鳥・・・そして初めての高山病?


 原因不明の偏頭痛が僕を襲います。もう少し降りたら自然に治ったので、つまりそういうことですよね。



 頭がクラクラする中、ここが分かれ道。沢を突っ切って真っすぐ進みます。


 そして、登りで通った道に合流。あとは北沢峠まで下るのみ。
 この辺に来て、やっと頭痛から解放されました。



 14:32 登山口に到着。16:00までバスはないと思っていたので、小休止。



 木漏れ日山荘で、アイスコーヒーを飲みながら、バスを待ちます。  
 いい感じの山小屋で、今度来た時は泊まってみたいと思いました。

 15:30
 くらいに何故か広河原行のバスが出ていたので、それに乗って帰りました。増発便でしょうか?


山梨最後のしめ



 17:57 甲府駅に帰ってきました。
 昼間の武田信玄像。
 武田家は、新羅三郎義光から続く清和源氏の名門で、信玄公の代には甲斐、信濃、駿河など、計9カ国に跨る超大国を築き・・・(以下略)



 そして今日も喜久乃湯で汗を流します。前編でも来たので、詳細は省略で。



 そして山梨最後の夜は、甲府駅前の小作でほうとうを食べていきました。




 ここにもあった鳥モツ煮。豚肉ほうとうと一緒に頼んだら、とんでもないボリュームになりました。これで登山で消費したカロリーはチャラです。
 おいしかったんですけどね。



 長期の休みでもなければ、中々来ることはできませんが、南アルプスには、日本第二位の高峰北岳や、山塊の象徴甲斐駒ケ岳鳳凰三山など、魅力的な山が沢山あります。次はもっと天気がいい日に来てみたいです。


 そして来月は、何もなければ富士登山に行く予定です。



 お読みいただき、ありがとうございました!